不器用な書評など

下手な日本語すみませんですが、小説について話したいです。

綿矢りさ「夢を与える 」(2007年)

 

芸能界のおとぎ話

 「夢を与える」が綿矢りさの最初の長編で三作目だった。サクッと要約すれば夕子というタレントを目指している少女の生まれる前から18歳までの人生の話をする小説だ。夕子が子供の時から歩んでいる道をこの本に丁寧に記されているのだが、最初のページからこの物語との距離がちゃんと感じられる。おとぎ話のように主人公と他のキャラクターの思っていることややっていることが把握できるが、あまり主人公と親しくならなくこの小説が芸能界にある危険性に関する警告だけになってしまう。個人的にこの話の方針と警告を賛成しても、自分が持っている芸能界の概念を考え直させられても、小説としてこのものが綿矢りささんのベストではないと思う。

 主人公の夕子が実は三十ページまで現れていなかったので最初からおとぎ話の気配を感じた。冒頭はかぐや姫みたいに彼女の親達の話から始まり、夕子がどういう状況で生まれたのを描写した。この選択肢はそもそも問題があるというわけではないのだが、第一ページから彼女との距離が出、読者が彼女の目線から世界を見なく夕子を観察するようになる。多分綿谷さんがわざと芸能界の人に関する話にこういう観察感を入れたかもしれないが、後ほどの心理的な描写と夕子の内面的な鬱病破局を夕子の立場からあまり感じられなくなってしまう。他の作家より綿矢りさの素晴らしいポイントは女性の心理描写だと思う。「手のひらの都」という小説で綿谷さんが京都人の女性の間の憎みと感情を読者心苦しくなるほど切ない描写を書いたが、「夢を与える」にはその鋭さの原点を見えると思うが、主人公との距離があるためそこまで感じるほどではない。

 個人的にはこの小説で夕子と親しくなり彼女の人生の流れではなくちゃんと夕子の内面を探りたかったと思うが、「夢を与える」のおとぎ話的な距離も結局この小説の最強の力になる。夕子の話がほとんど彼女の人生の流れ、仕事の様子、周りの状況についてのものになるからこそ、客観的に芸能界がどういうふうにタレントなどを利用しているのかということを理解できる。夕子は小学生の頃からある子供を幼稚園から大人になるまでの人生をフォローし、毎年CMを撮るというチーズ会社のCM企画のおかげで芸能界に入るチャンスが与えられ、夕子の母がこのチャンスを見逃さなく父の批判を抑え捕まえた。この幼い年齢からずっと母に後でタレント事務所に彼女が利用され、自分の人生をコントロールできなく、学校に行っても寝不足で昼寝しかできないほど働かせられ、仕事以外のこと全く興味ないより知らない。読者は芸能界かスポーツのニュースを見れば子供の時から仕事しかしない若手芸人や選手のスキャンダルが頻繁に見るかもしれないが、大体多め書かれても望遠レンズの距離でしか見えない。「夢の与える」の描写がそれより一つの段階近い立場から若手タレントのスキャンダルを観察する。細かくまでなぜこういう状況になったのか、誰のせいだったのか(夕子じゃなく周りの大人達)、この業界の腐っている芯を明らかにされている。

 この小説が小説として個人的には好みではなかったが、芸能界の危険性や不平等などに関するおとぎ話として立派な作品だと思う。もし子供を芸能界に出させるつもりであれば、一度この本を読んだ方がいい。ノンフィクションや実用書より小説の強みは誰かを怒らせるのを気にしなくあらゆる事実を書けることだと思う。この作品にはそういう事実を語っている。